ジャニーズのエンタメ

 

滝沢歌舞伎ZEROという作品は、タッキーの思い描くジャニーズアイドルの概念、それそのものなんじゃないかな、なんて思った。

 

この作品には、緻密に練られたストーリー性があるわけではないし、「歌だけ」「ダンスだけ」といったひとつの専門だけを極めているわけでもない。

言うなれば古今東西あらゆるエンタメをよくばりミックスしたオードブル状態だ。

何でもこなすジャニーズアイドルを象徴しているかのようなマルチさ。

この世のどこに、JPOPと歌舞伎と和太鼓と映画を融合させてしまった映像作品があるだろうか。

だから、これは好きだけどこれは嫌い、これは面白いけどこれはつまらない、なんてのも人によってはあるかもしれない。

 

だけどそれでいい。それがいい。

面白いと思う部分だけつまみ食いするのでもいいし、ちょっと覗いてみるだけでもいい。

人間にできることは思いのほかたくさんあって、その可能性は絞らなくていい、夢はたくさん見てもいい、やりたいことは諦めなくていい。

 

まだまだこんなにも、俺たちにできることはあるんだよって、アイドルのプロってつまりこういうことじゃない?って、そう問いかけられてるようなボリューム感。

今はこうだけど、来年にはもっと出来ることが増えて、もっと楽しませることができます!という漲る自信。

意味とか理由とか考えなくても、ただひたすら見ているだけで、「よし、私も明日から自分の人生頑張ろう!」って無条件に思えるような、満ち溢れる活力のかたまり。

それが、滝沢歌舞伎が長年愛される理由かもしれないな、と初見ながらに思った。

 

この舞台の中にこれでもかと詰め込まれたあらゆるパフォーマンスを完遂するために、SnowManは一体どれだけの時間と体力と精神を要したんだろう。

どれほどのプレッシャーがあったことだろう。

あらゆる方面のプロに引けを取らない技術を、SnowManは何年もかけてこの滝沢歌舞伎という舞台で習得して来たんだということ、そして私はその集大成の観劇者であり、その歴史の目撃者なのだという事実に、どうしたって心を揺さぶられた。

 

滝沢歌舞伎ZEROという作品を通して、「SnowManのプロフェッショナルはこれだ」と、彼ら9人が覚悟を示してくれているように思われてならない。